日本財団 図書館


Joy Projectの活動は、一般国民にはよくわからない仕組みと、不透明さを社会に明らかにすることで、誰の目にも見えるようにするための作業をしている。免許基準についても、全国どこでも同じ条件で安心して免許が取れる環境を作り出さなければならない。そのためには我が国初のジョイスティックコントロール免許取得者を、Joy Projectが生み出さなければならないと強く感じている。
?J公的補助制度はできないのか
アメリカでは48州において改造費用全額を州が負担する。この情報は多くの当事者のため息を誘った。わが国の政治、行政の現状を身にしみて理解している人たちにとって、「とても日本では実現できるはずがない」との感概を持ったであろうことが肌で感じられた。
アメリカでは高額であるからこそ公的補助金の必要性を認識し、日本では高額であるが故に補助をしない。最も紳士的かつフェアーなスポーツと云われるゴルフ人口の多いわが国において、ハンディの発想が政治、行政に反映されないのはなぜだろうか。歴史や文化の違いを勘案したとしても、この差は『民主主義』および『基本的人権』に対する国民的理解力の差ではないだろうか。
以上11項目だけでも、解決には多くの時間と労力を必要とするであろう。このような問題を内包しているわが国の社会環境にあって尚、昨年インディアナポリスまでフィッティングに出かけた購入希望者が2人居たという事実は、このような車の必要性が高いことを証明したといえる。
発足以来、Joy Projectの活動目標は、全身性重度障害者でも何か目的を持ったときに速やかに実行できるよう、ニーズに合った商品、製品を容易に入手できる社会環境を創ることにある。
JOY−VANはまさにそれを象徴する『道具』である。
全国キャラバンを通じて最も印象に残ったことは、如何に全身性重度障害者が情報を入手できない環境に置かれているかという事実である。車椅子のまま乗り込んで運転できる車は20年以上前から欧米では当たり前のこととして利用されていた。ところが残念なことに、この車を最も必要としている当事者に情報が伝わっていない。情報を持っている側と必要としている側の双方に問題があるとしても、これは仕組みとして解決しなければならない大きな課題として受け止める必要がある。
『夢の車』に希望を持つことができた人たちに、今後どのような変化が起きるのだろうか。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION